ドイツデンタルショウから半年。
12時間の長いフライトでアメリカ・ボストンに向かう。

今回の目的は、最新の5㎜の長さでも大臼歯部に使える、
ショートインプラントの実態に迫ること、そしてアメリカの歯科事情について
理解することにありました。
ドイツで見た、長さ5㎜の不思議なインプラント。
現在のハートフル歯科でも、そのシステムは採用され
何人もの方に使用しております。
通常のインプラントは、4㎜×10㎜が標準的なもの。
ショートインプラントでも、8㎜が限界と言われています。
今まで使用している、インプラントも8㎜が最短。
7㎜も使いますが、補助的なものとなっております。


 
ハートフル歯科では、自分の受けた医療を医院理念にしております。
5㎜で済むなら、骨に穴をあける量を減らしたい。
それが、神経、血管損傷を防止して、腫れや痛みを少なく手術につながる。
そういつも思っておりました。
その思いからこのショートインプラントの謎に迫る必要が急務と感じ、
渡米してきました。

その画期的なインプラントの特徴は、

『スローピングショルダー』
審美性と骨の安定性に寄与します。

『ロッキングテーパー』
セメントを使用しないために、感染しにくい構造です。

独特な『フィンデザイン』
短くても骨との結合が有効的に進みます。

この3つの特徴について、日本のセミナーでは、十分な説明を受け、
体感することができませんでしたが、この研修を通じてすごく良く理解できました。
実際のオペや被せ物を取り付ける様子を見てみると
今までのインプラント治療とは、まったく異なる物を見ることができました。

骨のない上顎にインプラントをする方法。
今まで、抜歯即時埋入手術の場所を選ばずに手術を行っている様子。
初めて見るオペの数々、インプラントの周囲に骨がドンドン増えてくる事実。

多くの学びがありました。

帰国後、すぐにそのテクニックを使用して、
もっと簡単にまとまった手術を計画しております。
この新しいインプラントシステムには、インプラントのイノベーションを感じています。

アメリカの歯科事情は、日本と異なります。
アメリカでは、「大きなむし歯は、抜歯→インプラントが99%ですよ。」
と言われました。
根管治療は、予後も不安定で根っこの治療と被せ物を入れると
インプラント治療と同等の価格がかかることが原因だと言われています。
確かにインプラント予後は、安定しています。
自分の歯を大切にする日本の文化的背景を考えると
なぜか受け入れられない物がありました。

『所変われば品変わる!』
そう思うと、なんか理解できました。
保険制度、国民感情など文化的な背景から歯科治療が違うことを痛感しています。

大学見学もしてきました。
ハーバード大学とボストン大学。世界に名高い有名大学です。
そこの補綴科インストラクターと臨床教授、日本人でボストンで活躍する先生方、
地元の歯科医師などにお会いしてきました。

世界の最先端の医療機関で勤務する先生方から、治療計画の大切さと
歯科治療をコントロールしている被せ物のデザインの重要性を改めて問われ、
真摯に受け止め、帰国後の治療計画の参考にしようと思いました。

不景気から日本人留学生が減り、韓国人、中国人、インド人が
多く留学してきている実態を聞き、日本の学生さんにも頑張って
世界へ飛び出してもらいたいと思いました。
20年前に留学する方法、道しるべが分かっていたら
人生が変わっていたのかもと残念に思ったのも事実です。

次世代を担う20代の若き歯科医師の先生方に、今回の研修で学んだ、
世界は広く大きい、歯科治療にも色んな形があることを伝えたいと思いました。

現地の日本人歯科医師が、
「日本人には、OPEN MINDが足りない。」
「もっと世界に出て、外から日本を見て欲しい。」と語られたのが印象的でした。

スポーツ、アート、サイエンス。全てが揃う、ボストンの街。

メジャーリーグで大活躍する元巨人の上原!

誰もが教科書で見た、ゴッホやミーレの絵が飾られた美術館!

世界に向けた研究を続けるハーバード大・ボストン大・タフツ大!

世界は、広く 多くの刺激をもらえます。

ハートフル歯科の目標・新しい道を見てきました。
マイクロスコープ、インプラント、インビザライン、小児歯科。
アメリカと差が詰まってきたかも・・・

10年前ロスアンジェルスで見た、アメリカの歯科医療からの
とてつもない衝撃とは異なって知らないことを補うような研修となりました。
感覚的には、だいぶ違いました。

僕の歯科医療への興味、研鑽の日々は、続きます。

これからもハートフル歯科をよろしくお願いします。

ハートフル歯科理事長

下田孝義

医療法人社団徹心会ハートフル歯科