野田先生の破折歯を救うブログ

2019.11.28更新

こんにちは

ハートフル総合歯科グループの野田裕亮と申します。

前回に続き外科的根管治療についてです。

歯根端切除術も意図的再植術も外科処置のため、ブログ掲載では出血シーンは編集して、

お話をさせていただきますので、もし詳しく聞いてみたいという方がおられましたら、

ご来院お待ちしております。

今回は歯根端切除術の症例を少し載せさせていただきます。

根管治療を行いまいたが、根尖透過像が大きいこと、根管充填後も腫れが引かないことを悩まれていらっしゃった患者さん。外科的根管治療のメリット、リスクについてお話をさせていただき、歯根端切除での根尖病巣の摘出をご希望されたため、手術を行いました。

写真は手術前。麻酔をした後の写真ですが⭕️部分に膿の出口が残っています。

 

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外科処置のリスクである術後の歯肉退縮(歯肉が下がること)に十分留意し切開を行うと、

2本の歯根にまたがる程の根尖病巣を確認。マイクロスコープを用いながら不良肉芽(炎症組織)を綺麗に除去します。(これは根管治療だけでは治らない。。。)

 

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その後感染が疑われる歯根端を切断し、元あったように縫合をします。(今回の場合保険内診療のためMTAでの封鎖は行っておりません)

 

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抜糸をして治癒した状態。

 

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炎症組織により骨の吸収が大きかっただけに術後のレントゲンでもまだ完全に回復までには至っておりませんが、痛みも腫れもなくなったと患者さんも喜んでおられ、骨も順調に回復しているのがわかります。

どんな外科処置も行うメリット、それに伴うリスクはつきものです。

それを患者さんと共有し、治療を進めることが何よりも手術の成功率を高めるでしょう。

どんな外科処置もやらないで済むのであればそれが一番いい。

しかしやらなければならない状態の時にやらないのは死期を早めてしまう結果になってしまうのです。

ひとりでも多くの、一本でも多くの歯を守れるよう日々診療しております。

お悩みの歯があれば是非ご相談ください。

 

野田裕亮

投稿者: 野田 裕亮

2019.11.27更新

こんにちは

ハートフル総合歯科グループの野田裕亮と申します。

 

今回は外科的根管治療についてお話いたします。

根管治療とは別名「歯内療法」といい歯の中の根管という神経の管の治療になります。

トンネルの掘削工事をして綺麗になれば封鎖をするために根管充填を行います。

しかし根っこの病気を長く患っている場合、根尖に膿の袋がつくられてしまい、通常の根管治療だけでは痛みや腫れが治らない場合があります。そういった場合は外科的根管治療といい、根の外から膿を袋ごと取り出す手術を行う必要があります。

 

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処置には大きく分けて2種類あり

① 歯根端切除術

② 意図的再植術

があります。意図的再植術は以前掲載した接着治療の口腔外接着術と同じ術式です。

ただ破折はないため、抜いて中を綺麗にして植え直すということを行います。

 

再植は抜歯時に歯根破折を起こしてしまうリスクや再植後に歯根が安定してくれるかの予後を評価していかなければならないため、一般的には①の歯根端切除術を選択することが多いですが、外側一方向からの手術になるため、根っこの裏側まで炎症が波及している場合や奥歯のような歯根端切除術では術野が確保できない場合は意図的再植術を選択せざるを得ない場合もあります。

外科的根管治療時、歯根端切除術も意図的再植術も膿の袋とともに感染が疑われる歯根の先端をカットします。根管治療済みの歯の場合、金太郎飴のように歯根をカットした断面から根管充填材が現れます。

 

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経年劣化や生体親和性の観点から長期的予後を考えると、カットしたままでなく、MTAセメントを用いた逆根管充填により根尖側から根尖の封鎖を行うことが望ましいとされております。(保険外診療)

MTAは他のセメント材料と比較して高い成功率、優れた生体親和性をもつため、

最良の封鎖をし、組織再生を促進する唯一の材料であるとされています。

 

根管治療で長く悩んでいる方、問題は根管内部ではなく根尖病巣によるものではないですか。根尖に問題があるのに根管治療のみを行えばどんどん歯質を失ってしまい、歯の破折のリスクはさらに高まってしまいます。

 

当院ではマイクロスコープを用いた根管治療を保険、自費問わず行なっております。

何が悩んでいる歯に起こっているのか、どんな治療が必要なのかを見極めながら診療を行っております。

是非ご相談ください。

 

野田裕亮

 

 

投稿者: 野田 裕亮

2019.11.26更新

こんにちは

ハートフル総合歯科グループの野田裕亮と申します。

 

前回は前書きが長くなってしまいましたので、実際の治療の流れについて写真でご紹介いたします。

前回のブログはこちら

http://www.e82.jp/blog/2019/11/post-387-705558.html

 

歯根の垂直破折が起こり、他院で保存不可能と診断され抜歯の前にセカンドオピニオンとして来院された方の写真。前院の診断通り縦に真っ二つに破折してしまっている一番奥の歯です。延長ブリッジの土台になっていた歯で、噛み合わせの負担により破折したと推測されます。ただ、根の周りに炎症組織による骨破壊がまだ深刻化していない状況や、全体的に歯周病が及んでいないことから、口腔外接着法のお話をし、残せる可能性があるのならと治療を開始しました。

 

まず破折に関係のない根管に関してはマイクロスコープを用いた根管治療を行い、根管充填を終了させます。

その後破折部の処置に切り替わります。

破折した歯根を丁寧に抜歯し、

 

 1

 

破折根についた不良肉芽(炎症組織)を綺麗に除去、

 

2 

 

スーパーボンド(医療用接着)を破折面に塗布し、

 

 3

 

接着。

 

4 

 

 余分な分は綺麗に整えて抜歯窩に戻す。(写真は数週間の固定後、固定剤を外した後の写真)

 

 5

 

歯の動揺も腫れもないため、セラミック治療で治療完了しました。

 

 6

 

元あったようにブリッジを入れると土台に対しての噛み合わせの負担から、再度破折してしまう可能性があるため、今回は一つの歯として被せ物を完成させました。

 

治療をしてから1年以上経過しますが、一度も腫れたり傷んだりした様子もなく、今もメンテナンスには欠かさずいらっしゃいます。

あの時初診でいらっしゃっていなければきっと抜歯となっていたことでしょう。

 

接着治療は治療自体に煩雑なものではなく、「抜いて→治して→戻す」といった単純なものですが、治療の迅速さとスーパーボンド(医療用接着剤)の生体親和性、歯周組織の治癒力がその後の予後を大きく左右するものといえるでしょう。

今後多くの方の破折歯が救えればと願いますが、適応症例に限界があるため、全ての破折歯が救えるわけではありません。

抜歯の前に救える可能性がないか、抜いてしまっていい歯なのか

ぜひ一度ご相談ください。

 

野田裕亮

投稿者: 野田 裕亮

2019.11.25更新

こんにちは

ハートフル総合歯科グループの野田裕亮と申します。

 

今回は「接着治療」シリーズの口腔外接着法(再植法)についてお話させていただきます。

再植法とは、外科的根管治療の中にもある術式ですが読んで字のごとく一度歯を抜いて元に戻す治療法です。よく「移植」と間違えられる方もいらっしゃいますが「移植法」は患歯が保存不可能となった場合に他部位のドナー歯を移し替える治療を指すため、患歯の保存を目的とした「再植法」とは似て非なるものです。

 

「口腔外接着法」は破折した歯を丁寧に抜歯して口腔外で炎症組織を綺麗に除去します。その後新鮮な歯質を出しスーパーボンド(医療用接着剤)で元の形に復元し、抜歯窩に戻し固定をします。外科処置の一つのため、治癒を待っての被せ物になるため、治療に期間がかかりますが、炎症組織を確実に除去できるため、実際に治療した後の経過としては良好なものがほとんどです。

 

しかし口腔外接着法を行う前に条件がいくつか存在します。

① 歯根の湾曲が著しくないこと

② 歯根が複数本ないこと

③ 破折片が揃っていること

④ 歯周組織のダメージが著しくないこと

この条件をクリアして初めて口腔外接着法に向けての治療を開始します。

なぜこの条件が必要かというと、①②は単純に抜いた歯を戻せないということです。

口腔外接着法を何度も経験していますが、この条件をクリアできなければ口腔外で接着した歯根を元に戻す際に破折根に負荷がかかり良好な経過が得られなかったり、そもそも抜歯窩に戻らないことがあります。

また破折片が揃っていなければ前回記載したようにパズルのピースが完成しないため接着治療が行えません。

歯周組織にダメージが大きければ、支えてくれる組織がないため、破折歯に常に負担がかかるため、長期的予後は期待できないでしょう。

 

歯根破折

 

写真の状態は、破折片の虫歯も大きく接着治療の適応にはなりませんでしたが、

歯根が複数本あること、金属の土台の向きからすると湾曲した根管だと推測されるため、

接着治療をしても予後が良くないと予想され、適応外という診断になります。

 

治療後も治癒の経過を見る必要があります。

「歯牙移植」同様一度歯を抜く治療のため、戻した後にその場に定着するかどうかの評価が必要となります。拒絶反応とは少し違いますが、異物反応として炎症が始まってしまっては、いつまでも揺れが引かず最悪の場合、自然脱落をしてしまいます。

落ち着くまでの固定、固定を外してからの揺れ・腫れの評価の後に被せ物の治療になりますので、治療開始前にしっかりとしたお話をさせていただく必要があると思います。

 

しかし残せるとしたらそれは入れ歯でもインプラントでもなくご自身の歯。

何よりも自分の歯を残すことにつながるのではないでしょうか?

長くなりましたので今回はここまでで、口腔外接着の実際の症例は次回ご紹介させていただきます。

 

 

野田裕亮

投稿者: 野田 裕亮

2019.11.24更新

こんにちは 

ハートフル総合歯科グループの野田裕亮と申します。

 

前回に引き続き「接着治療」についてのお話です。今回は前回ご紹介した口腔内接着に関してご紹介します。

接着治療についてのブログはこちら

 http://www.e82.jp/blog/2019/11/post-385-705548.html

ひび割れ程度の破折の場合や、歯根破折を起こして間もない場合など、口腔内で直接破折歯を接着する方法です。破折部分を綺麗に洗浄し、新鮮な歯質の状態にしてスーパーボンド(医療用接着剤)で接着をします。この術式は患者さんの負担が少ないので、第1選択で適応かどうかを診断し、行なっております。

 

接着治療をお話しする際、よくパズルのお話をすることがあります。

パズルのピースが揃っている場合には、隙間を接着剤で埋めて完成できますが、パズルのピースがどこかに紛失してしまっていればそのパズルは完成することができません。

パズルのピース(破折片)が揃っていること、しっかり繋ぎとめること(接着)これこそが接着治療の成功のカギとなります。

 

口腔内接着

 

写真のように白い部分が見えるかと思いますがこれが破折した場所。接着治療により隙間なく埋まっているのがわかります。以前も記載しましたが、一度入ってしまったヒビは再生するわけではないため、何も起こっていない健全歯に比べ再度破折をしたりとリスクがゼロになるわけではありません。そのため最終的な被せ物も当院ではオールセラミック修復により、歯根へのダメージを最小限にして治療を施しております。

 

この治療法で何より大切なのは汚染歯質を確実に除去すること、また破折片どうしが隙間なく口腔内で戻ること。

根管治療は根の中までしっかり確認が行えなければ予後は不確かなものになってしまいます。破折歯の治療もこれまた然り。確実に汚染歯質を除去できたかはマイクロスコープを見ながらの診療でなければわかりません。

 

当院では根管治療を始めあらゆる治療にマイクロスコープを用いているため、破折歯の治療に対しても同様にマイクロスコープを用いながら診療を行っております。

破折により抜歯と言われた方、根管治療を何度も受けているが良くならない方、もしかしたら接着治療により救える歯があるかもしれません。

一度ご相談ください。

 

 

野田裕亮

投稿者: 野田 裕亮

2019.11.23更新

こんにちは

ハートフル総合歯科グループの野田裕亮と申します。

 

今回からは「接着治療」についてお話したいと思います。

当院の「接着治療」とは東京自由が丘でご開業されていた「接着治療」のパイオニアである眞坂信夫先生ご考案の破折歯に対しての保存的治療です。

眞坂先生は今年の9月にご逝去されました。ご冥福をお祈りいたします。

 

神経治療をした歯はよく枯れ木に例えられますが、栄養が行き届かないため、時間の経過とともに脆くなりやすく、神経治療から数十年経ったのちに歯根にヒビが入ったり割れてしまうトラブルが起こることがあります。これを歯根破折といいます。

 

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以前掲載したブログ( http://www.e82.jp/blog/2019/11/post-377-705364.html )でもあるように一般的に骨縁下に及ぶ破折(ヒビも含む)はその後の予後が悪いため抜歯の基準になります。しかしこの破折歯に対して保存を図ろうというのが「接着治療」になります。

治療法は大きく分けて2つあります。

 

① 口腔内接着法(直接法)

歯根破折による歯の周りの炎症が少ない場合、口の中で直接破折した歯をスーパーボンド(医療用接着剤)で接着し、土台をたてる方法。

患者さんの負担が少ないため第1選択の治療法としてお話をすることが多い治療法です。しかし条件が悪かった時には術後に破折に起因した歯周病を発症する場合があります。その場合は次の口腔外接着へ移行します。

 

② 口腔外接着法(再植法)

割れた歯の間に歯肉が陥入してしまうと破折片が分離し、直接法では元に戻すことができません。一度抜歯をして口腔外でスーパーボンドで接着をし、再植して固定をします。

外科手術のため治癒に時間がかかりますが、破折による炎症がある場合でも適応になります。

 

もちろんヒビの入った歯が再生するわけではないため、元通りというわけにはいきませんし、長期的に保存ができるかどうかは破折歯を支える歯周組織の健康状態にも左右されるので、全ての歯が適応になるわけではありません。

詳しく精査し、適応になるかどうか調べなければなりませんが、以下のような状態の場合はお受けすることができませんのでご了承ください。

❶歯の割れ方が複雑で、元に戻すことが困難な場合

❷破折から長期間が経過し、破折による炎症組織、それに伴う骨吸収が著しい場合

❸歯周病が著しく、接着治療を施しても予後が期待できない場合

少しでも多くの歯が救えるように日々診療しております。是非ご相談ください

 

野田裕亮

投稿者: 野田 裕亮

2019.11.22更新

こんにちは

ハートフル総合歯科グループの野田裕亮と申します。

 

今回は引き続きエクストリュージョンの実際の症例についてお話いたします。

エクストリュージョンについての術式のお話は前回のブログをご参照ください。

( http://www.e82.jp/blog/2019/11/post-380-705473.html

写真の患者さんは前歯の被せ物が土台ごと外れてしまったとのことでご来院されました。

 

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聞けば10年以上前に入れた被せ物とのこと。薄い歯質になんとか金属の土台とセラミックの被せ物を入れてもらっていたようで、逆によくここまで持ってくれたと言わんばかりの状態でした。再度土台を立てたり被せ物を入れたりするほどの歯質が残っておらず、本来なら抜歯適応の状態でした。しかし幸い残った根っこにはむし歯や破折はみられないため、保存的治療として矯正的挺出術(エクストリュージョン)に移行しました。

 

前歯のエクストリュージョンだったため、簡易的ではありますが仮歯を使用し、なるべく目立たないような形の矯正装置を装着しました。

 

前歯は単根で素直な根っこであることが多く、エクストリュージョンの期間もさほど長くかかりません。この方の場合も1ヶ月半弱くらいで歯根の牽引が終わりました。(歯根の状態、引っ張る距離により期間に差があります)

 

その後歯肉整形を行い、仮歯を入れ、歯茎の整いを待って最終的な被せ物が入りました。

 

ここまでを聞くと「なんて万能な治療なんだろう」と思うかもしれませんが、エクストリュージョンを始め、フェルールを失った歯をなんとか残そうとすれば、根っこの歯質を再利用して被せ物を入れるということになります。つまり引っ張れば引っ張るほど歯根が短くなる。胴長短足の歯になるということです。そのためどこまででも引っ張れるわけではありません。エクストリュージョンをした結果歯に動揺が残ってしまう場合は隣の歯と連結して支えてもらうことも考えなければなりません。

 

先日受講したセミナーでもそのことは触れられており、

最終的な被せ物を連結にするか単独歯にするかは大まかな目安として

連結にするなら8mm

単冠で一つの被せ物として被せるなら10mm

必要とお話がありました。もちろん歯根の太さやかみ合わせの状態によっても少し差はあるにしても、全ての歯を引っ張れば元どおりということはありませんし、歯根が短くなることでのリスク(歯根破折やかみ合わせによる歯周組織に与える影響など)は無視できません。そうしたリスクについてもお話し、それでもという場合は治療計画の一案としてご提案することもあります。

 

一本でも多くの歯が保存できるように日々診療にあたっております。

 

「私のこの歯残せるのかしら?」「抜歯と言われたけど保存できないか?」

 

全ての歯が救えるわけではありませんが、抜く前に何か選択肢があるかもしれません。

是非ご相談ください。

 

野田裕亮

 

 

投稿者: 野田 裕亮

2019.11.21更新

こんにちは

ハートフル総合歯科グループの野田裕亮と申します。

 

前回受講したセミナーの内容に関連して矯正的挺出法(エクストリュージョン)についてお話いたします。

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矯正的挺出(以下エクストリュージョン)とは歯茎の下にある歯根を矯正の力により上に露出させることにより被せ物を入れられる環境をつくる方法になります。

 

むし歯や破折により歯茎より下まで歯を失った場合、通常その歯は保存することができません。歯の保存ができるかどうかの基準としてフェルールといい、歯に被せ物を入れる際に、被せ物の縁よりも上に健康な歯質が高さ2mm(骨縁から5mm)、幅1mm、が必要だと考えられています。また無理に治療しても、精密な型取りを行うことができず、適合の良い被せ物が作れません。その結果は、被せ物と歯の間に不適合な隙間が出来て、そこからむし歯が再発してしまいます。(以前掲載ブログより http://www.e82.jp/blog/2019/11/part3-705373.html

 

このフェルールを確保するために行う処置をエクストリュージョンといいます。別の方法にクラウンレングステクニックというものがありますが、これについてはまた別のブログにてご紹介します。

 

両隣在歯に矯正器具をつけ、根っこだけになってしまった歯にフックをつけます。矯正用のゴムでそれらを結び牽引するのが治療法になります。

 

前歯など審美に関わるところは仮歯を入れてなるべく矯正器具が見えにくいように、歯が無いように見えないように仮歯もともに製作します。

 

1日2日で引っ張れるわけではないため、歯根の牽引状態を見極めながら経過をみていきます。矯正用のゴムも時間の経過とともに劣化をするので定期的に交換をします。

 

予定していた位置まで牽引が完了したら、外科処置により歯肉整形を行います。これはエクストリュージョンにより歯を引っ張るのですが、同時に周りの歯周組織(歯茎や歯根膜)も引っ張られているため、元の位置に戻す必要があるからです。これを行わないと前述のようなフェルールの確保に至らないため、引っ張っただけではいけないのです。

 

エクストリュージョンが必要な患者さんには必ず外科処置はセットで行いますとお話します。抜歯やインプラント手術に比べれば大きな外科処置ではないため、術後の違和感も少なく、患者さんには術前術後の症例の写真をお見せしながらお話をしております。

 

その後仮歯を入れて歯茎の引き締まりを待って最終的な被せ物に進めます。

 

おおよその期間としては矯正治療に1.5〜2ヶ月ほど、仮歯の時期が長くても1ヶ月前後を予定しているので3ヶ月前後の治療期間になりますが治療費用はセラミックの被せ物の費用を合わせて150,000円(税別)(2019.11月現在)になります。

 

もし大きなむし歯、破折により保存ができないと診断された方がいればエクストリュージョンが適応にならないか一度ご相談ください。

次回は実際の症例についてお話いたします。

 

野田裕亮

投稿者: 野田 裕亮

2019.11.11更新

こんにちは

ハートフル総合歯科グループの野田裕亮と申します。

 

先日、下地勲先生の「歯と歯列の保存セミナー」に参加してきました。

内容は矯正的挺出術、意図的再植術、歯牙移植術について。

 

保存治療の第1歩

 

セミナーの題にもあるように「保存治療の第一歩」というタイトルで、

歯をなんとか残す治療についてのお話でした。

 

インプラント治療は技術の向上などにより成功率が高まっていることで、

最近では簡単に歯の抜歯を行う歯科医院が多くなっていると下地先生はお話されました。

確かにインプラント治療を行う場合、インプラントを埋入する骨に問題があれば迅速に解決をする必要があるため、抜歯を行うことがほとんどです。

もちろんインプラントは確立された治療で段階を踏んでしっかりとした治療を行えば長期的予後が期待できる治療法ですが、ご自身の問題のある歯の状態をしっかり把握し、それが保存ができる歯でさらに長期的な予後が期待できる状態だったらどうでしょうか?

 

セカンドオピニオンとしてご来院される方が多い当院ですが、

やはり前院で「保存ができない」と診断され、「なんとか残す方法がないか?」といらっしゃる方の割合が圧倒的に多いのが現状です。

そういった方すべての歯を救える訳ではありませんが、

どこが残せる歯、残せない歯の線引きなのか、現在治療している治療法にもう少し改善の余地がないのかブラッシュアップのために受講させていただきました。

 

今後、ブログでも矯正的挺出術(エクストリュージョン)、意図的再植術、歯牙移植術についてそれぞれ実際の症例とともにお話させていただきますが、今回の講義で特に印象的だったのは「移植治療後の治癒のメカニズム=歯の発生の過程」だということ。

つまり歯の発生の過程を考えて移植を含めた保存的治療をしなさいということです。

セミナー会場が飯田橋で母校の駅だったこともあり、講義を受けながら学生の時に「組織学」といってよく歯の細胞をスケッチしたり、講義を聞いていたことを思い出しました。

 

 

歯を支える組織「歯根膜」には

① 再生機能

② 恒常性維持機能

③ 感覚機能

があるとされています。

これはインプラントにはない、ご自身の歯だからこそ持っている機能です。

 

iPS細胞の研究が進み臨床的に普及していくまでまだまだ時間がかかると思いますが、

その中でご自身の歯により歯周組織の再生が誘導できるのは、無視していいものではありません。歯根膜組織が正常なのか、既に死んでしまっているのかを診断することが、その後の歯の保存の可否の大きな分かれ道といえるでしょう。

 

次回以降はもう少し掘り下げて各治療法についてのお話をさせていただきます。

 

 

野田裕亮

投稿者: 野田 裕亮

2019.11.03更新

こんにちは

ハートフル総合歯科グループの野田裕亮と申します。

 

今回は引き続き保存できる歯できない歯について。その中でもむし歯が大きく進行している場合についてお話します。

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以前のお話で歯の治療を家に例えてお話をしましたが、歯根はいわば家の基礎に値する部分。シロアリに食われてしまった基礎はどうにもなりませんし、柱に継げる基礎がなければそのあとの家の建築はできないでしょう。

 

根管治療も似たところがあります。コア(柱)、被せ物(屋根)を建てるならしっかりした歯根(基礎)は必須です。フェルールといい、神経を抜いた歯(失活歯)に被せ物を入れる際に、被せ物の縁よりも上に健康な歯質が高さ2mm(骨縁から5mm)、幅1mm、が必要だと考えられています。また無理に治療しても、精密な型取りを行うことができず、適合の良い被せ物が作れません。その結果は、被せ物と歯の間に不適合な隙間が出来て、そこからむし歯が再発してしまいます。そのためむし歯が大きい場合は、虫歯を取りきった状態で健康な歯質がしっかり残っているのかどうかを見極める必要があります。

 

これをせず根管治療をただ行い、土台被せ物を入れれば、「つける→外れる→またつける→また外れる」の繰り返しになってしまいます。

いつも外れる被せ物が入っていらっしゃる方いらっしゃいませんか?もしかしたらフェルールが不足しているため、本来は保存できないものを闇雲に治療されている可能性があります。

 

むし歯が大きく進行し、健康な歯質が不足している場合、抜歯の宣告をされることは珍しいことではありません。他の項目のときと同じように、症例によっては保存できないと宣告されたものでも「エクストリュージョン」「クラウンレングスニング」によって保存を図れるものもあります。しかし残念ながら全ての症例に適応できるものではありませんので、しっかり精査しご相談する必要があります。

 

むし歯が大きく抜歯を宣告された場合、抜歯を受け入れる前に残せる可能性が本当にないのか一度ご相談ください。

 

 

野田裕亮

投稿者: 野田 裕亮

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