野田先生の破折歯を救うブログ

2019.11.11更新

こんにちは

ハートフル総合歯科グループの野田裕亮と申します。

 

先日、下地勲先生の「歯と歯列の保存セミナー」に参加してきました。

内容は矯正的挺出術、意図的再植術、歯牙移植術について。

 

保存治療の第1歩

 

セミナーの題にもあるように「保存治療の第一歩」というタイトルで、

歯をなんとか残す治療についてのお話でした。

 

インプラント治療は技術の向上などにより成功率が高まっていることで、

最近では簡単に歯の抜歯を行う歯科医院が多くなっていると下地先生はお話されました。

確かにインプラント治療を行う場合、インプラントを埋入する骨に問題があれば迅速に解決をする必要があるため、抜歯を行うことがほとんどです。

もちろんインプラントは確立された治療で段階を踏んでしっかりとした治療を行えば長期的予後が期待できる治療法ですが、ご自身の問題のある歯の状態をしっかり把握し、それが保存ができる歯でさらに長期的な予後が期待できる状態だったらどうでしょうか?

 

セカンドオピニオンとしてご来院される方が多い当院ですが、

やはり前院で「保存ができない」と診断され、「なんとか残す方法がないか?」といらっしゃる方の割合が圧倒的に多いのが現状です。

そういった方すべての歯を救える訳ではありませんが、

どこが残せる歯、残せない歯の線引きなのか、現在治療している治療法にもう少し改善の余地がないのかブラッシュアップのために受講させていただきました。

 

今後、ブログでも矯正的挺出術(エクストリュージョン)、意図的再植術、歯牙移植術についてそれぞれ実際の症例とともにお話させていただきますが、今回の講義で特に印象的だったのは「移植治療後の治癒のメカニズム=歯の発生の過程」だということ。

つまり歯の発生の過程を考えて移植を含めた保存的治療をしなさいということです。

セミナー会場が飯田橋で母校の駅だったこともあり、講義を受けながら学生の時に「組織学」といってよく歯の細胞をスケッチしたり、講義を聞いていたことを思い出しました。

 

 

歯を支える組織「歯根膜」には

① 再生機能

② 恒常性維持機能

③ 感覚機能

があるとされています。

これはインプラントにはない、ご自身の歯だからこそ持っている機能です。

 

iPS細胞の研究が進み臨床的に普及していくまでまだまだ時間がかかると思いますが、

その中でご自身の歯により歯周組織の再生が誘導できるのは、無視していいものではありません。歯根膜組織が正常なのか、既に死んでしまっているのかを診断することが、その後の歯の保存の可否の大きな分かれ道といえるでしょう。

 

次回以降はもう少し掘り下げて各治療法についてのお話をさせていただきます。

 

 

野田裕亮

投稿者: 野田 裕亮

2019.11.03更新

こんにちは

ハートフル総合歯科グループの野田裕亮と申します。

 

今回は引き続き保存できる歯できない歯について。その中でもむし歯が大きく進行している場合についてお話します。

むし歯

 

以前のお話で歯の治療を家に例えてお話をしましたが、歯根はいわば家の基礎に値する部分。シロアリに食われてしまった基礎はどうにもなりませんし、柱に継げる基礎がなければそのあとの家の建築はできないでしょう。

 

根管治療も似たところがあります。コア(柱)、被せ物(屋根)を建てるならしっかりした歯根(基礎)は必須です。フェルールといい、神経を抜いた歯(失活歯)に被せ物を入れる際に、被せ物の縁よりも上に健康な歯質が高さ2mm(骨縁から5mm)、幅1mm、が必要だと考えられています。また無理に治療しても、精密な型取りを行うことができず、適合の良い被せ物が作れません。その結果は、被せ物と歯の間に不適合な隙間が出来て、そこからむし歯が再発してしまいます。そのためむし歯が大きい場合は、虫歯を取りきった状態で健康な歯質がしっかり残っているのかどうかを見極める必要があります。

 

これをせず根管治療をただ行い、土台被せ物を入れれば、「つける→外れる→またつける→また外れる」の繰り返しになってしまいます。

いつも外れる被せ物が入っていらっしゃる方いらっしゃいませんか?もしかしたらフェルールが不足しているため、本来は保存できないものを闇雲に治療されている可能性があります。

 

むし歯が大きく進行し、健康な歯質が不足している場合、抜歯の宣告をされることは珍しいことではありません。他の項目のときと同じように、症例によっては保存できないと宣告されたものでも「エクストリュージョン」「クラウンレングスニング」によって保存を図れるものもあります。しかし残念ながら全ての症例に適応できるものではありませんので、しっかり精査しご相談する必要があります。

 

むし歯が大きく抜歯を宣告された場合、抜歯を受け入れる前に残せる可能性が本当にないのか一度ご相談ください。

 

 

野田裕亮

投稿者: 野田 裕亮

2019.11.02更新

こんにちは

ハートフル総合歯科グループの野田裕亮と申します。

 

今回は前回の続きである保存できる歯とそうでない歯についてです。

前回は歯のヒビについて書きましたが、今回は根尖病巣が大きい場合についてお話します。

ぺるでかいとき

 

根管治療というのは字のごとく根管と言われる根の中のトンネルの掘削工事になります。

 

根管に蔓延る感染歯質を機械的に除去し、キレイになった状態で根管充填といい封鎖を行います。感染経路がこれで封鎖が完了するため、その後コアを立てて被せ物に移ります。

家を建てることで例えれば、根管治療は基礎工事、コア(土台)は柱、被せ物は屋根といったところ。いくら豪勢な屋根を立ててもしっかりとした基礎がなければ家は倒壊しますし、まして歯を支えている骨が弱く(歯周病や根尖病巣が大きい場合)足場がぬかるんでいれば長期的に家が建っていることは不可能でしょう。

ここでの抜歯基準とはそういった歯周病や根尖病巣で歯を支えている歯槽骨を失っている場合、歯がいくら残せても歯を支える組織がもたない場合は保存ができませんということです。

 

根尖病巣が根管治療後も残ってしまう場合、多くは歯根嚢胞といい歯根の先端に膿の袋ができてしまうことを言いますが、根管治療だけでは回復が難しいことがあります。それを除去するために外科的根管治療を行う場合がありますが、1cmを超える歯根嚢胞の場合、その後治癒に向かっていくことが難しいため、抜歯基準になることが珍しくありません。

症例によっては1cmを超える根尖病巣の場合でも「再植」「移植」により歯が残せる方法もありますが、100%残せる治療の選択肢ではないため、慎重に診断をしていかなければなりませんし、患者さんともご相談をしていかなければなりません。「再植」「移植」に関しては今後別の回にてご紹介させていただきます。

 

根管治療をしてもなかなか治らない、何ヶ月も根管治療に通っている・・・実際はこういったことが原因でお悩みになっているのかもしれません。

当院では保険診療でもマイクロスコープを用いて何が原因なのか、どういった状態で苦しんでいらっしゃるのかをご説明しながら診療を行っております。

ぜひ根管治療で保存ができないと宣告された方、本当に残す術がないのか一度ご相談させてください。

 

 

野田裕亮

投稿者: 野田 裕亮

2019.11.01更新

こんにちは

ハートフル総合歯科グループの野田裕亮と申します。

 

今回は保存できる歯できない歯についてお話します。

 

保存できる歯できない歯と簡単にいっても、歯の残っている量、状態、歯並び、噛みあわせ、支えている骨の状態、破折であれば破折してからの期間などそれぞれの評価により保存できる状態なのかどうかを探っていく形になるため、残念ながら全ての歯を救えるわけではありませんし、残せたとしても何事のない歯に比べれば長期的予後を保証できるものではありません。しかし、抜歯の宣告をされていた歯が根管治療をし、被せ物まで入って違和感なく食事が取れるようになっているのも事実です。

 

今回から数回に分けてこの保存できる歯かどうか、正しくは保存できる可能性のある歯なのかどうかということをテーマに書かせていただこうと思います。

当院でお配りしているパンフレットに「歯の状態について」というパンフレットがあります。他院からセカンドオピニオンで来られる患者さんも少なくないため、保存ができるか否かの状態の時にお配りするパンフレットですが、多くの場合このパンフレットに基づき保存の可否をお話しております。

今回は歯のヒビについて。

歯の保存

 

写真のように歯のヒビといってもできる場所により大きく5つに分類されます。

保存可能なヒビとそうでないヒビ、イラストにもありますが、骨縁下まで達してしまっている場合保存ができないとされています。

 

左サイドの保存可能なヒビの場合、程度によりますが基本的には詰め物・被せ物で破折してしまった場所を覆ってしまえば保存可能といえますが、右サイドのように骨縁下まで破折が及んでいる場合、例えるなら家を建てる際の基礎にヒビが入っているわけですから丈夫な家は建てられず、噛んで痛い、ヒビから細菌感染を起こしてしまう・・・色々なトラブルが推測されるでしょう。

 

「歯にヒビが入っている。」「それにより保存ができない。」と言われた場合それがどれに分類されるかは、やはりマイクロスコープでの診療のような精密な診断が必要と言えるでしょう。一度入ってしまったヒビが、歯が再生して治ることはまずありません。

どういった状態でどういった処置が必要なのかはきちんとした設備の下診断してもらいましょう。

 

また残念なことに右ブロックの保存できないヒビに分類された場合も、条件によっては保存できる可能性があります。この内容については今後「接着治療」の回でお話ししていきたいと思います。全ての症例に適応になるわけではありませんが、抜歯を受け入れる前に一度適応になる状態なのかどうかご相談ください。

 

野田裕亮

 

投稿者: 野田 裕亮