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| 口腔外科 |

インプラント40年の歴史


 抜けてしまった歯を再生したい。新しい歯を入れることはできないだろうか。無くした歯を復活させたいという思いは大昔からあったようで、古代の遺跡からもインプラントが試みられたことを示す骨が発掘されています。トルコで発見されたもの石製のインプラントで紀元前550年前のものと推定されています。そのほかインカ文明やアステカ文明でも発見されており、古代マヤ分絵美においては真珠貝を用いたものが見つかっています。

 儀式用のものも多かったようですが、実際にインプラントとして機能していたものもあり、古代の人にとっても歯がいかに大事なものであり、切実に必要とされていたかがわかります。現代の様に歯科治療も発達していないのですから、歯を再生できたらと思いは、現代人以上だったかもしれません。

 失った歯を蘇らせたいという願いは人類始まって以来の見果てぬ夢といっていいのかもしれません。この夢が今、インプラントによって実現しつつあります。100%とはいわないまでも、90%くらいまでは実現できると思います。

 

チタンの採用により大きく前進

近年になってインプラントが大きく進化を遂げることができた背景には、ある一つの発見が大きく寄与しているといっていいでしょう。それは「オッセンインテグレーション(osseointegration)=骨結合」といって、骨と金属とが一体化するという性質のことです。「osseo-」は「骨の」という意味で、「integreation」は「統合」という意味があります。「生活を営んでいる骨組織とインプラントが光学顕微鏡レベルで直接密着し、持続的な結合状態を示し、インプラントに加わった力が直接、骨に伝達される状態」と定義されています。

 この性質を発見したのはスウェーデン・イエテボリ市の応用生体工学研究所所長のブローネマルク博士でした。博士は骨と骨髄の中の血液循環のテーマを研究していたときに、ウサギのスネ骨に特殊な顕微鏡を埋め込んで観察をしていた。何ヶ月経って顕微鏡を取り出そうとしたのですが、顕微鏡が骨にしっかりとくっついて取れなくなっていることに気づきました。顕微鏡のチャンバーはチタンでできていたのですが、博士はこのチタン製のチャンバーが骨と強固に結合していることを発見したのです。1952年のことでした。この偶然の発見が現在インプラントで行われているオッセオインテグレーションの生体への応用の基礎となりました。

 その後は実際に犬のあごにインプラントを埋め込んで検証するなど10年以上かけて動物実験が繰り返され、チタンが生体に安全であり、拒否反応がないことが明らかにされ、インプラント応用への道を切り開いたのです。インプラントの素材や形の研究も積み重ねられ、1965年になって初めて実際に患者にインプラントが埋め込まれました。

 それまでのインプラントはステンレスやコバルト、金、サファイアなどが使われ試みられていました。しかし、いずれも結果は惨憺たるものでした。チタンのように骨と強固に結合することはできなかったのです。

 本来、金属は人間にとって異物ですから、生体はこれを排除しようとします。しかし、チタンだけが生体親和性を持ち、オッセンインデグレーションという状態を創り出してしまうのです。チタンのこの性質をうまく利用したのが現在のインプラントだといえます。ですから、チタン製のインプラントはあごの骨にネジで物理的に止められているのではなく、分子レベルでチタンがあごの骨と強く結合し、取り込まれて安定した状態になっているのです。

 日本では1985年以降、積極的に導入されるようになりました。それまではほかの金属やサファイア等を使っていたので、あごの骨にうまくつかなかったり、拒絶反応が出たり、あるいは金属アレルギーを起こしたりと成功率はよくありませんでした。しかし、チタンを使うことでインプラントの成功率は90%から、現在では限りなく100%近いものへと大きく向上しています。もちろん、ドクターの手腕の如何も大きく影響しますが、骨とインプラントの接着という意味ではほぼ100%の成功率といってもよいと思います。

 

インプラントの構造

 インプラントは骨に埋める歯根部分であるフィクスチャー(単独でインプラントと言う場合もある)と歯茎の外に露出し歯を支える支台部分であるアバッチメント、さらに上部構造である人工歯3構造からなっています。フェクスチャートアバッチメントが一体型のインプラントもあります。フェクスチャーは下部構造とも呼ばれ、オッセオインテグレーションを司ります。アバッチメントはアバッチメントスクリューによってフェクスチャーにネジ止めされます。そのアバッチメントに人口歯を被せます。

 インプラントのサイズは大体1cm強の長さで直径は4mm程です。ただし、いろいろな条件に合わせるため、たくさんのバリエーションがあります。

 

 

 

 

 

 

 

インプラントの種類

 歯を失われた方の残っている骨の量、他の歯の状態、噛み合わせの状態は様々です。

 インプラント治療は患者様お一人お一人の状態に合わせて行うオーダーメイド治療が必要です。逆にそうしなければ、どこかに不具合が出てきたり、あるいは見た目に違和感が出てきてしまいます。インプラント治療には総合的なテクニックが要求されるといわれてるのもこのためで画一的な治療ではお一人お一人が納得される成果は出せないからです。

インプラントのメーカーも現在は世界で50社以上あり、治療システムや部品もさまざまにあります。患者さまによってどのメーカーのシステムが合うかまた違ってきます。ですから、一つのメーカーを扱うだけでは不十分であり、少なくとも数種類のメーカーのシステムに習熟練している必要があるといえます。

 当院では4社のメーカーシステムを導入して治療を行っています。信頼できるメーカーであることが第1条件です。患者さまが一生使い続けるものですから、供給がストップしたり、会社自体の存続が危うくなってしまうようでは困るからです。また、患者さまが日以外に行かれたときににもすぐに対応できるよう世界的に普及していることも重要な条件の一つです。

 一つのメーカーのシステムに習熟するのもたいへんですが、複数のシステムを揃えることは技術力はもちろんですが、気力といったことも必要です。お一人お一人の患者さまに最適のインプラント治療を行いたいという気持ちがあればこそできることだと思います。